ぐるっと琵琶湖、列車で周遊

行程  2011.11.26
1日目  自宅→<湖西線>→敦賀駅→<北陸本線>→米原駅→<東海道本線>→山科駅→<京阪電車>→
 浜大津駅→<京阪電車>→山科駅→<東海道本線>→自宅

 

 秋のおでかけ、といえば「紅葉」です。11月の終わり、奥さまと奥さまの妹さんとわたしの3人で、今年最後の秋を満喫する旅にでかけました。行き先は、新快速電車の終着駅・敦賀へ!
 御存知でない方のため、ここで、少し「新快速電車」について、解説しておきたいと思います。
 「新快速電車」は、JR西日本が運行する快速電車よりも速達性を増し、近郊都市間の移動がより便利となるよう設けられました。JRの前身となる「国鉄」では、全国均一のサービスが追求されていましたが、昭和45(1970)年に大阪万博が開催されたことをきっかけに、特別に関西地区での優位性のある列車の運行が認められたことが、この「新快速電車」の運行のはじまりとなりました。
敦賀駅
車窓に広がる琵琶湖  当初、「新快速電車」は、西明石〜京都間の運行でしたが、列車の機能向上などのたび、徐々に延伸し、平成18(2006)年10月21日のダイヤ改正で、関西圏を越えて北陸地方の入り口である福井県敦賀市まで運行されることとなりました。この「新快速電車」については、1冊の本が書けるくらい様々な変遷がありますが、ここではこの辺でとどめておきます。
 というわけで、かれこれ6年も前の話しだったのですが、ようやくその機会がやって来たということで、今回、初めて「敦賀」へお邪魔することにしました。
 当日は、とてもお天気が良く、秋晴れの日差しが車内に降り注ぎ、たいへんまぶしかったことを覚えています。京都駅で妹さんと合流し、いよいよ旅の始まりです。京都駅を出ると列車は、大津市に入り、湖西線(琵琶湖の西側を走る路線)を北上します。
 すぐに、進行方向に向かって右手に、日本で一番大きな湖・琵琶湖が車窓に飛び込んできます。海水でない、というだけで、本当に「海」のような広がりを見せてくれる湖・琵琶湖は、自然の偉大さを改めて感じさせてくれます。いにしえの人たちが、「びわの“うみ”」と呼び、大切に守ってきたことを実感できます。
 京都駅を出て、1時間半あまりで、終着駅・敦賀に着きます。敦賀の手前の「近江塩津」駅まで、車窓から琵琶湖の雄姿を眺めることが出きます。滋賀県の6分の1を占めるという琵琶湖の大きさを、改めて体感しました。
 9時50分、定刻どおり、敦賀駅に到着。始発にほど近い兵庫県の駅を出発し、大阪府、京都府、滋賀県を通過し、福井県に到着です。2府3県!
 敦賀駅は、その昔、日本海の商用港として栄えた敦賀港の玄関口で、ここから敦賀港までの線路があり、貨物等の運搬が行われていました。今は、電車が発着するターミナル駅ではありますが、こじんまりとした雰囲気のある駅舎です。
 早速、駅構内にある観光案内所へ行き、今回はレンタサイクルを利用して、市内を巡ろうということになりました。4時間借りて500円です。ちょっと駆け足で周ることになるかも知れませんが、秋の空気を感じながら、敦賀の町を散策することに…。
 まずは、「けいさん」と地元の人たちから親しまれている「気比神宮」へ行きます。駅から自転車をこいで、駅前商店街を快走すること7、8分。朱色の大きな鳥居が目に入ってきます。気比神宮は、創建が大宝2(702)年と言われ、北陸道の総鎮守として古くから、祀られてきた由緒ある社殿です。高さ11メートルもある大鳥居は、木造の鳥居としては日本でも有数のもので、奈良の春日大社、広島の厳島神社と並ぶ規模とされています。
敦賀市内マップ
クリックすると大きい地図が見られます!
気比神宮の鳥居  手水で清めたのち、境内を散策します。広い敷地が、その規模を教えてくれます。ちょうど陽が射し、キラキラとイチョウの葉が黄金色に輝き、シーンとした境内をより輝かしいものと感じさせてくれました。おみくじをひいたりしながら、ゆったりと参拝することができました。
 ちなみに、右の写真は、わたしたちがくくったものではありませんので…。本当は、こうやって木にくくちゃダメなんですよ! 
 気比神宮をあとに、市街地から少し離れたところにある、徳川家ゆかりの寺とされる「西福寺」を目指します。
 ただひたすら、国道沿いを西へ西へと進むのですが、途中、雰囲気のある建物や、海産物を売っている商店などがあったのですが、時間との都合、一路、「西福寺」へ。ただ、どうしても気になるお寺があり立ち寄ることに…。
 それは、曹洞宗曹紹山「永建寺」で、延元2(1337)年、越前金ヶ崎城落城の際に戦死した幾千もの亡霊が救いを求めて敦賀湾に出ると
おみくじ
永建寺 聞いた僧侶が、読経のため敦賀に帰り、座禅石に単座し霊魂を鎮めたそうです。この話を聞いた郡主が建てた堂が、ここ永建寺のはじまりなのだとか。その後、戦国武将の大谷吉継が深く帰依し、慶長2(1592)年に、現在の永建寺が建立されました。
 禅寺だけあり、おごそかな雰囲気もさることながら、苔が生え、よく手入れされた庭など穴場スポットです。山門も立派で、時間を忘れて見入ってしまいました。
 永建寺をあとに、すぐ北側には敦賀湾が広がっているのですが、とにかく「西福寺」を目指します。左の写真のようなあぜ道を自転車で進み、ようやく着きました! サイクリング中
 寄り道しなければ、40分くらいでしょうか?
 正平23(1368)年、良如上人が開いた浄土宗鎮西派の本山で、市街から離れたこの地に、このような立派なお寺が何故あるのか、少し不思議に感じるくらいです。また、江戸中期に作られた庭園は、北陸きっての名刹とされ、とくに紅葉の頃は美しいと言われています。
西福寺書院庭園1 西福寺書院庭園2  わたしたちが訪れたのは、11月の下旬で冬の到来の早い北陸地方では、すでに冬支度。紅葉もほぼ終えていたので、ほんの少し残っている木々が楽しませてくれただけでした。
敦賀湾遠景
 ゆっくりと、庭園を眺めたり、建物の中を見学したのち、再び来た道を自転車で戻り、敦賀湾が眺望できる場所へと移動しました。上の写真の一番右が、それです。
 途中、「穴地蔵」という古墳のようなスポットがあり、お地蔵さんに手を合わせ、道なりに下ると、敦賀湾が目の前に広がります。日本海です、日本海!
 ここから、東へ伸びる浜辺は、敦賀市市営の松原海水浴場となっていて、白砂の浜辺がとても美しく、海に面した浜辺の奥には、日本三大松原の一つ「気比の松原」が広がっています。そこを散策しながら、市街地へと戻るつもりでしたが、ちょうど昼時、、、まずは腹ごしらえ。というわけで、近くに合ったお寿司屋さんへ入ることに。日本海の幸が堪能できるかな?
海鮮ちらし寿司 地魚定食のおかず 地魚定食のお寿司
 じゃぁ〜んッ!
 どうですか、美味しそうでしょ! 美味しかったんです。
 日本海の幸をふんだんにつかった「海鮮ちらし寿司」と、わたしが頂いた「地魚定食」!
 お魚の煮付けって、ほんとうに美味しいですよね。よだれが、、、
 ちなみに、お食事をしたお店は、「与三郎寿司」というお店です。
気比の松原  美味しい食事に舌鼓をうったあとは、サイクリングの続きです。敦賀の名勝の一つ、「気比の松原」を抜け、市街地へと戻っていきます。白砂青松の気比の松原は、黒松など1万7千本が生い茂っており、遊歩道も整備された美しい浜辺です。散策には持って来いで、市民の憩いの場としても親しまれているようです。
 気比の松原を抜け、笙の川を渡ると、少し古い家並みが続きます。この辺りは、敦賀城の城下町だったのかもしれません。さらに進むと、敦賀港に出ます。そこには、移築された赤レンガ倉庫群や、旧敦賀港駅舎などがあり、敦賀の繁栄を教えてくれ、また港町として栄えた様子を伺えうことができます。さらに先へ進めば、金崎宮や金ヶ崎城跡を見学出来たのですが、時間の都合、ここで切り上げて駅へ戻ることにしました。
 4時間のサイクリングは、あっという間でした。駅前の商店街でお土産にと、魚の干物やかまぼこといった海産物を買い、駅の売店で見つけた自然素材でできた昔ながらの「飴」を手に列車へと乗り込みました。もちろん、敦賀の地酒もワンカップで買いましたよ!
 今、敦賀といえば、「原子力発電所の町」として知られていますが、先の震災以降、様々な問題が巻き起こっています。敦賀市内を散策すると、原発関連の施設などもあり、わたしたちに語りかけていたよう
にも感じました。
 敦賀駅を出て、次の目的地は、「琵琶湖」へ!
 というのは、今回の日帰り旅行では、「関西1DAYパス」という1日乗り放題の切符を利用していました。乗り放題といっても、基本的には普通列車(快速、新快速を含む。)のみです。ただし、青春18キップと違い、特急料金を加算すれば、特急列車の自由席に乗車することができます。これは、ローカル線では時間短縮となり、お勧めです。
 はじめ、長浜辺りを散策しようと考えていたのですが、今朝、車窓から眺めた琵琶湖の姿が忘れられず、琵琶湖に行ってみようという話になりました。しかも、この「関西1DAYパス」を利用すれば、琵琶湖周遊汽船「ミシガン号」にも乗船できるのです。これは、かなりお得!!特急列車利用で、何とか最終の「ミシガン号」に乗船できそうだったので、レッツGOです!
 14時10分発の北陸本線を走る特急「しらさぎ」号に乗り、米原駅へ向かいます。来る時は、湖西線という線路で琵琶湖の西側を北上しました。北陸本線は、琵琶湖の東側を走ります。時折、車窓からは琵琶湖が見えます。ほんの30分ほどですが、ワンカップを飲み、ほろ酔い気分で米原駅に到着。ここで、東海道本線に乗り換え、新快速列車を利用し、山科駅ま
特急「しらさぎ」号
で行きます。
 「ミシガン号」は、滋賀県大津市の浜大津港から出ているので、JR大津駅からも歩いて行けるのですが、この「関西1DAYパス」、京阪電車にも乗り放題なんです。凄い!というわけで、山科駅から京阪電車を利用し、浜大津駅へと向かいました。
ミシガン号  16時過ぎ、浜大津駅に着き、歩いて浜大津港へ向かいます。16時45分の最終クルーズまで、30分ほど待合い室で過ごし、いよいよ乗船です。ちょうど夕暮れどきで、トワイライトクルーズとなりました!思ったよりたくさんの方が、乗船されていて、そのことにも驚きましたが、何よりわたし自身、初めての乗船でした。テレビや新聞、雑誌など色んなところで目にしてきてましたが、一度も乗ったことがありませんでした。近くに行ったこともあったんですが、、、お恥ずかしい限りです。
 ちなみに乗船料2,200円も、「関西1DAYパス」に含まれています。2,900円なんです、この「関西1DAYパス」。大丈夫なの、JR?と少し不安にも思いましたが、ともかく最大限に利用したという自負はあります。
 出港の10分ほど前に、乗船案内があり、いよいよ船内へと進みます。
ビール  船内は、とても綺麗で、そして、豪華です。日も落ち暗くなってきていたので、照明がつき、余計にキラキラと輝いていたのかもしれません。そんな船内で、さらなる特典が!!
 写真のとおり、ビールが付いてるんです。
 そして、ポップコーンも♪
 少し肌寒くなった秋の夜風を受けながら、琵琶湖に始まり琵琶湖に終わる日帰り旅行も終盤です。黄昏の空を眺めていると、何とも言えない感傷深い気持ちになりました。いにしえの人たちも、琵琶湖に沈む夕陽を眺め何を思ったんだろうと、、、

 実に充実した、秋の旅となりました。

 お勧めです、
 ぐるっと琵琶湖、列車で周遊の旅!
 いかがですか?

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